民法
Aは建物所有の目的でB所有の土地を賃借し、賃借人として20年間占有していたが、その後Aが単独相続によりB名義の所有権を取得したものと誤信し、所有の意思をもって引き続き10年間占有を継続した。この場合のAの占有の性質に関する説明として最も適切なものはどれか。
- A占有開始時に所有の意思がなかった以上、その後の事情にかかわらず他主占有が継続し、自主占有への転換は一切認められない。
- ✓民法185条の新たな権原に基づく占有の法理により、外形的客観的にみて所有の意思に基づく占有と認められる事情があれば、相続による取得の誤信を契機として自主占有へ転換し得る。
- C賃借人としての地位を有していた以上、賃料の支払が続く限り永久に自主占有への転換は生じない。
- D相続は包括承継であって新たな権原には一切該当しないため、自主占有への転換は常に否定される。
解説
民法185条は、占有者が新たな権原により所有の意思をもって占有を始めた場合に自主占有への転換を認めており、判例上、相続のような包括承継であっても外形的客観的にみて所有の意思に基づく占有と認められる事情があれば自主占有への転換が肯定され得る。したがって単純に「常に他主占有継続」とする説明は誤りである。
根拠民法185条(占有の性質の変更)に関する判例法理